人気YouTubeチャンネルが紹介した“救命処置”に医師「気になる点が多い」

2019年12月21日、「フェルミ研究所」(登録者数182万人)が「【漫画】もし目の前で突然人が倒れたらどうすればいいのか?【マンガ動画】」を公開しました。

フェルミ研究所は、さまざまな分野の雑学を漫画とナレーションで紹介するチャンネルで、いわゆる“漫画系”チャンネルの中では最多の登録者数をもっています。

駅で突然倒れた女性に救命処置を施す

動画はサラリーマンの男性が出勤中、駅で近くにいた女性が突然倒れ、救命処置を施すというストーリー。

目の前で倒れた女性に男性は声掛けしますが、応答がないため男性は119通報します。
倒れた女性の周りには野次馬が集まってきます。
男性はその視線を遮るため周囲の人に壁をつくるよう依頼します。

その後、女性に脈がないことが分かると男性は胸骨圧迫を開始。
AEDを取り付けるため女性の服をハサミで切ります。

周囲から

訴えられたら人生詰みますよ

という声があがりますが、男性は

命が助かるならちょっとくらい見られてもいいと思っているはず

と返し、服を切ってAEDを取り付けます。
ちょうどそこに救急隊が到着して・・・。

という流れ動画は進みます。

動画では以下の5点がポイントとして紹介されていました。

1. まず声をかける/誰から電話していてもいいので119
2. 野次馬から壁を作って隠してあげるといい
3. 場所は動かさない方がいい スカートを履いていたら上着を被せる
4. 脈がない場合は10秒以内に胸骨圧迫を開始する
5. 女性にAEDを貼る時に遠慮しないこと

救急救命士から称賛の声

動画は12月23日10:50現在、約61万回再生されており、高評価数は1.5万、低評価239。高評価率98.5%となっています。

コメント欄では、救急救命士だという人物からの

どうしても通報が入ってから救急車で向かうと時間は何分かかかってしまいます。
救急の現場では1分1秒がとても貴重で、その方の将来を決める大切な時間です。
影響力の大きいフェルミさんにこういった動画を紹介していただき、本当にありがとうございます。

というコメントをはじめ、消防士や救命士を目指す大学生など、救急救命にかかわる視聴者からの称賛のコメントが寄せられています。

専門家は「気になる点が多い」

しかし、専門家からは異なる見解も寄せられています。
救急医のTaka氏はツイッターで、動画について「大変気になる点が多く、医療従事者の監修が入ってるようには思えません。」と投稿。

動画では脈を取る前に人垣を作ったり、スカートの上から服をかけたりしていましたが、「『さあ準備ができたから蘇生処置をしよう』というのではダメ」で「一刻でも早く蘇生処置を行う以上に優先すべきことはない」と指摘しています。

とにかく自分にできることをやってみよう

ただし、「非医療従事者に完璧な処置は求められていません」として、「『とにかく自分にできることをやってみよう』と思っていただきたい。」ともコメントしています。

AEDを使う際、服を脱がす必要があることから、女性にAEDを使うことに抵抗を覚える人が多いという現状があります。
(参考:NHK「女性だとAEDが使われない? 救命処置の男女差」)
Taka氏は、これを踏まえ「『そんな心配はやめよう。その分配慮はしよう』というメッセージ性は素晴らしいと思います。」ともコメントしています。

(12月22日追記)

フェルミ研究所、医師をブロック

この反論を受けたフェルミ研究所の対応は「無視」でした。

フェルミ研究所は、Taka氏が引用したツイートを削除し、Taka氏をブロック。
Taka氏は、フェルミ研究所のこの対応を「間違いを正す姿勢がない」と厳しく批判しています。