YouTubeが2020年のカルチャー&トレンドレポートを発表。
VTuber・シニアクリエイターが世界へ広がる
2020年12月13日、YouTubeは2020年のカルチャー&トレンドレポートを発表しました。
イントロダクションの動画では、レポートを作成した理由として
ポップカルチャーの歴史において貴重な調査の機会だからです。
この1年は世界中で大きな出来事があり 変化の重要な局面になったように感じます
と述べられています。
YouTubeは2020年のトレンドとして、①「新時代のクリエイター」の台頭、 ②「インタラクティブな視聴者」の増加、 ③「困難な状況に立ち向かう」ためのデジタルツールの利用 を例に挙げました。
「新時代のクリエイター」VTuberの台頭
YouTubeが「新時代のクリエイター」としたVTuberは、2016年後半に登場した「キズナアイ」(登録者数288万人)がブームを牽引。
YouTubeはキズナアイの登場を「日本のバーチャル伝説が誕生した瞬間」と表現しています。
そこからVTuberが増えた理由として、VTuberに必要な「モーショントラッキング」と「顔検出テクノロジー」の技術が広く普及したことを挙げ、それによって
自分の本当の顔ではなく、アバターを使って出演するクリエイターの数が増えました
と述べています。
YouTubeは、技術進歩によってVTuberのあり方が変わったことにも言及。
当初VTuberのコンテンツは、ウェブカメラと顔追跡ソフトを使用した短い動画でしたが、次第に全身のモーションも取り入れられるようになり、「洗練されたライブイベント」に変貌を遂げたと解説しています。
世界に広がるVTuberのフォーマット
YouTubeは、ライブ配信を通したファンとの交流が盛んになったことで、「にじさんじ」(登録者数49万人)「ホロライブ」(82万人)などのVTuberのみを手がける制作会社が誕生したことにも触れています。
こうした会社の尽力もあって、成功したキャラクターの言葉は多言語に翻訳され、VTuberという“フォーマット”が日本にとどまらず世界中に広がったとYouTubeは分析しています。
例として、英語圏の視聴者をメインターゲットに活動し、デビューから1カ月あまりで登録者数100万人を達成したホロライブ所属のVTuber「Gawr Gura」(登録者数137万人)が挙げられていました。
現在VTuberは主に米国、東南アジア、ヨーロッパなどで視聴者を獲得していますが、YouTubeの調査によると、YouTubeの視聴者の「半数近く」が、
「フィクション」または「アニメ化されたクリエイター」の動画を見てもいい
と回答しているとのこと。このことから
アバターでも人間のパーソナリティと同等かそれ以上の忠誠心とエンゲージメントをファンから引き出せる
という事実が見えたようです。
シニアクリエイターの台頭
YouTubeは「新時代のクリエイター」としてシニアクリエイターも取り上げています。
メキシコの高齢YouTuberである「Tito Charly(ティト・チャーリー)」(登録者数48万人)は、以前までメキシコのスーパーで勤務していましたが、新型コロナウイルスの影響で失業します。
その直後、YouTubeチャンネルを開設、“料理系”YouTuberとして毎日料理のレシピを紹介する動画を投稿し始めました。
2020年のニーズにぴったり合ったようで、2カ月で50万人近い登録者を集めることに成功しました。

ティト・チャーリー以外にも、ASMR動画を制作する67歳のフランス人YouTuber「Mamie Zizette」(登録者数3.2万人)、ドイツのシニアゲーマー集団「Senioren Zocken」(同73万人)などバラエティに富んだシニアクリエイター達が紹介されています。
日本からも、90歳のおばあちゃんゲーム実況者「Gamer Grandma」(同47万人)が紹介されました。
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