不登校YouTuberゆたぼんは新時代の主役か、
それともただのロボットか
動画「不登校は不幸じゃない!」が注目され、ニュースサイトや新聞といった各種メディアに取り上げられるなど、いま話題のYouTuber「少年革命家ゆたぼんチャンネル」(登録者数1.2万人)。
「ハイサイまいど!」のあいさつに、歌やお笑いといった楽しげな動画を投稿しているゆたぼんチャンネルですが、その裏に潜む「影」の存在に、疑問を感じている人が少なからずいます。
「学校に行かなくてもいい」を貫くゆたぼん
2018年8月19日に投稿した「不登校は不幸じゃない!」では、不登校である自身の身の上を「不幸じゃない」「むしろ楽しい」と話したゆたぼん。その後の動画でも、「学校に行かなくてもいい」のスタンスを貫いています。
不登校になった理由について、ゆたぼんは動画でこのように語っています。
僕は、3年生の1学期くらいに、不登校になりました。
なんで不登校になったかというと、まわりの子たちが、ロボットに見えたからです。
なんでロボットに見えたかというと、親のいうこととと、教師のいうことをハイハイ聞いていたからです。
宿題をすることを強要され、またそれを当然と考えるほかの生徒が「ロボットみたい」に見えたゆたぼん。自身までロボットになるのが嫌だという思いが、不登校を選んだ理由のようです。
現在はインターネットラジオ「ゆめのたね放送局」のパーソナリティとして、不登校の子や、苦しみながら学校に行くほかの子どもたちにメッセージを発信しています。
ゆたぼんは「新時代の主役」と謳うメディア
海外では「ホームスクール(ホームスクーリング)」という形で、自宅での教育が少しずつ普及し始めています。
ホームスクールとは、学校に通わず家を拠点にして学習を行うこと。そう言うと日本では「不登校の生徒が家で学習をする」というイメージが強いですが、海外では広く普及している学習方法です。(Woman excite「ホームスクーリングとは? 海外では既に当たり前の学び方」)
日本ではそこまでの認知度はありませんが、不登校の生徒の新たな選択肢として注目されていました。そういった背景もあり、琉球新報など各種メディアは「新時代の主役」として取り上げるなど、好意的な反応を示していました。
茂木健一郎氏もゆたぼんと対談
脳と心の関係についての研究で知られる茂木健一郎氏も、2019年5月6日、自身のチャンネルで「ゆたぼんさんに会いました」を投稿しました。自身の講演会に足を運んでいたゆたぼんと、直接言葉を交わした際の感想を話しています。
新聞記者が(記事を)書くときはね、変なことではないという確信がなかったら、ああいう記事にはしないと思うんですよ。
僕はゆたぼんとそのご家族に会ったとき、(中略)琉球新報の記者さんの感覚が、何となくわかった気がしたんですよ。
YouTuberからは批判の声
このように注目されるゆたぼんチャンネルに対し、別のYouTuberからは続々と批判の声が上がっています。
「スーツ 背広チャンネル」(登録者数14万人)は、2019年5月7日に「10歳の”少年革命家”ゆたぼん君が不登校になった理由に一同驚愕!」を投稿。「ガキが…舐めてると潰れるぞ」と過激なサムネイルと共に投稿されたこの動画では、
みんなも学校に行かないだけで不幸と思っちゃだめだ。他にもいっぱい楽しいことがあるんだから、学校に行かなきゃいけないって思うことは間違いだ、絶対死ぬんじゃないみたいな(中略)
その主張は正しいと思うんですけど、言う人が間違っています。この人は、学校に対して死ぬほどの苦しみを味わったわけじゃないでしょう。
そういう人から「死んだらいけない」という言葉を聞いたら、いろんな人が「軽々しい」という感想を持つんじゃないかと思います。
と話し、ゆたぼんの発言の説得力に対して疑問の目を向けています。
ゆたぼんの親にも批判が殺到
批判はゆたぼんだけでなく、親に対しても向けられています。
「PDRさん」(登録者数100万人)も、5月7日に「10歳の(不登校)天才革命家ユーチューバーゆたぼんが世界を救う。。。」を投稿しました。動画では、
(ロボットの話は)親が、彼のバックストーリーを深めるために後付けしたものだと思います。(中略)
自分の意思で動いていると思い込んでるけど、実際はパパの操り人形。
と話し、動画の裏にいる親の影について言及。また、PDR自身の個人的な意見とはしたものの
この親は、自分の知名度を上げるために、子どもを利用しているようにしか見えない。
やたらとプッシュしている講演会を見ますと(中略)話題の子供で釣って、自分の「あきらめる勇気」を押し付ける。素晴らしい商法ですね。
と、ゆたぼんの親を強烈に批判しました。
「PROWRESTLING SHIBATAR ZZ」(登録者数100万人)も7日、「10歳の不登校児のYouTuberに思う事」の中でこのような発言をしています。
率直な感想、これは、一種の虐待だなと思った。親から子に対する、虐待だなと思いました。
(中略)親の洗脳によって言わされている。
このように、ゆたぼんの親に対して強く非難の声がよせられています。
ゆたぼんの親「中村幸也」とは
多くのYouTuberが言及しているゆたぼんの親とは、「中村幸也」という人物。現在は心理カウンセラーとして沖縄で活動していますが、自身も元暴走族、中卒という特殊な経歴を持っています。そういった過去を生かし、著書「あきらめる勇気」を出版するなど、これまでにない新しい生き方を模索する活動を続けています。
PDRも話していた通り、5月25日に中村幸也氏は講演会を実施することを発表しました。講演会のチケット代は2,000円、懇親会に参加するためのVIPチケットは4,000円となっています。

子は、親にとってのロボットなのか
教師の言うことを黙って聞くようなロボットになりたくない、そういう思いで不登校になることを選んだと話すゆたぼん。しかし、ゆたぼんの選択には少なからず親の影響が表れていることは事実のようです。そんなゆたぼんに、他のYouTuberは口をそろえて言いました。「ゆたぼんは親のロボットなのではないか…。」
2019年5月9日追記
中村幸也氏、ブログでコメント
ゆたぼんの活動に対して、主にネット上で様々な議論がなされている中、中村幸也氏は5月7日、自身のブログを更新しました。
ゆたぼんが新聞に掲載され、Yahoo!ニュースのトップに載った事で大きな反響を呼んでいます。
やっぱり学校というシステムに合わない子もいるし(中略)
そういった現代を生きる子どもたちの現状に目を向けず、旧態依然とした学校教育に何の疑問も持たないで、ただ「学校に行け!」というだけでは何も変わりません。
だから、僕は行きたい子は学校に行けばいいと思うし、行きたくない子は「行かないという選択」をしていいと思います。
もちろんゆたぼんも自分で選択しています。
この他にも、Salonの記事を参考に、宿題の意義を再度問いかけています。
参考記事:中村幸也オフィシャルブログ「子どもを信じて何が悪いのか?」「子どもを信じて何が悪いのか?パート2」