こじれる家庭、うつ病の母、友人の死…。
すとぷりの莉犬くんが壮絶な過去を告白

2019年5月26日、「すとぷりちゃんねる」(登録者数34万人)のメンバーとして活動する「莉犬くん」(同59万人)が「生まれてから、」を投稿しました。2017年9月には、女性の体を持ちつつ、男性としての心を持つ「性同一性障害」であることを告白した莉犬。今回の動画では、それ以外にもさまざまなことに悩み続けてきた自身の人生を、25分にわたって話しました。

家庭環境に悩む小学校時代

自身の人生について「嫌なことが沢山あった」と振り返る莉犬。莉犬の人生は、幼少期からつらい出来事ばかりだったといいます。

借金を抱え、家賃が払えず夜逃げすることもあったという莉犬の家庭。母親はうつ病を患い、兄はゲームセンターに通い詰めるばかりで、ろくに勉強をしない。
そんな家族を見て、莉犬はこれ以上親に迷惑をかけないように、自分はいい子であろうとしたようです。
しかし、そんな頑張りも空しく母親からは

凄いおぼえているのは、お母さんに、
「貴方とお兄ちゃんが同時に死にそうになってたら、私はお兄ちゃんを助けると思う。」

と言われてしまいます。当時を振り返った莉犬は「人に愛されるってことがよく分からない」と話しました。
その後も母親の病状は重くなっていき、莉犬は家のことに悩まされ続けることとなります。
 

大切な友人との別れを経験

自身の暮らす環境にコンプレックスを感じ、他人に話すこともできなかった莉犬。そんな中、2人の友人と出会いました。
友人らも莉犬と同じく恵まれない環境で育っており、愚痴などを言い合ううちに親しくなっていったようです。初めてお互いを理解し合える人と出会い、莉犬は「嬉しかった」と振り返ります。
しかし、やがてその友人たちとも別れを余儀なくされます。
友人たちは2人とも、重い病気に苦しんでいました。1人はがんを患い、治療のかいなく亡くなってしまいます。もう1人は、白血病でした。自分の病気を受け入れられなかったその人は、病床で自殺を図ります。幸い弟に助けられ一命を取り留めましたが、莉犬は自身が友人の自殺を止められなったことに負い目を感じ、自身から連絡を取ることができなくなったとのこと。

そのような中、莉犬の家庭環境はさらに悪化します。大学受験を控えた兄は、母親が親戚に借金して塾に通わせるもまったく勉強せず、それが原因で日常的に言い争いが起こるように。母親が家を出て行ってしまうときもあったようです。
家族にはもちろん、その後、新しくできた友人にも壮絶すぎる家庭事情について相談することができず、莉犬は次第に心を閉ざすようになったとのことでした。

 

声優を目指す

がんで亡くなった友人は声優になることが夢でした。実は亡くなる前に、自分のかわりに夢をかなえてほしいと言われていた莉犬。

俺は声優っていうのがどんな職業かも分かんなかったんだけど、その子が俺に託してくれた夢だから、何があっても叶えようって思って。

と、まず中学で演劇部に入ります。そしてそのことを

きっとこれが今につながる最初の一歩だったんじゃないかなと、今になっては思います。俺は演劇部に入っていなかったら、“歌ってみた”とか興味なかっただろうし、あれがはじめだったと思う。

と振り返りました。

おカネのかかる専門学校に通うことはかなわないとわかっていたため、わずかなつてをたどってプロの声優に話を聞きに行ったり、個人的にレッスンを受けるなどして、興味を深めていきます。
ところが、母親は「お前には絶対ムリだ」と真っ向から大反対。
当時の莉犬は、その夢をあきらめるしかありませんでした。

中学時代に続き、莉犬は高校でも演劇部に所属。自身の演劇で全国大会を目指します。
吉田松陰の「諸君、狂いたまえ」という名言に感銘を受けた莉犬は、それを基に、将来に悩む高校生に向けた演劇を考えます。
しかし、女性である莉犬が男性の吉田松陰を演じる点が受け入れられなかったのか、シナリオは顧問教師に全て却下されてしまいました。
莉犬にとっての高校時代は、自身の声は誰にも届かない、という経験とともに過ぎていったようです。

 

字幕を消しての告白とは

ここで莉犬は、

中学校の時には、自身の性同一性障害について悩んでいた莉犬ですが、迷惑をかけたくない一心からそのことを家族に相談することはできずにいました。

ここから先かなり嫌な話になります。より気分を害してしまいそうなので字幕はつけません。

として、これまで語りを追うように表示していた字幕を消してしまいます。ここからの告白は自身の性についてでした。

中学時代から、自身の性同一性障害について悩んでいた莉犬。しかし、迷惑をかけたくない一心から家族には相談できずにいました。

19歳のとき、家族に内緒で乳房の切除手術を受けようと計画しますが、それを知った母親から猛反対を受けます。
しかし、自らの性に悩み、生まれたことを後悔し続ける莉犬にとって、手術は前を向いて生きていくためには必要である、という考えは変わりませんでした。
そのことを伝えると、母親は胸の手術に限って許してくれました。
 

声を届ける莉犬

そして現在、「俺は今、たくさんの人に声を届ける活動をしています」と胸を張って言う莉犬。いまでは一緒に活動する仲間も見つけることができたほか、家庭も安定していて、母親が莉犬に男物の服を買ってくれることもあるようです。

自分のことを愛せなかった人生を過ごし、自分のために前を向こうと決めた莉犬の声だからこそ、今もなお壁にぶつかり続けている誰かのもとに届くのでしょう。